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MEMS(電気機械の技術)と再生医療と創薬のメモ

研究ライフ
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本記事では「MEMSと再生医療と創薬」の研究について解説された記事を読んで学んだことをアウトプットします。+αでそういえばこんな研究があったなというものを紹介していきます。

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、nm(ナノメートル)〜μm(マイクロメートル)ほどの小さな構造を作る技術(微細加工技術)によって作製れた半導体集積回路などのデバイスで、これが再生医療や創薬に応用されているとのこと。

このMEMS技術について、現代で恩恵を受けていない人はいないはずです。
MEMSはスマホ、パソコン、プリンター、自動車、医療機器など身の回りの機器類のほとんど使われている技術です。

近年はこのMEMS技術を細胞培養や、化合物の合成、物質の解析などバイオやケミカルの分野でも活用されてきており、再生医療や創薬の開発にも使われています。

おそらく、現在かなり注目度の高い分野だと思います。

参考

MEMS
横川 隆司
日本再生医療学会雑誌 再生医療 第18巻第2号 メディカルレビュー社

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MEMSとは

MEMSは光などを使った微細加工技術によって作製された、半導体集積回路などのデバイスです。
特徴としては、nm(ナノメートル)〜μm(マイクロメートル)の微細な構造が組み合わさって機能を発揮しているところです。
(MEMSを聞いたことない人はぜひWikipediaのダニよりも小さな歯車を見てきて欲しい)

実際にはMEMSを作製するために使用する、微細加工技術まで含めた広い意味でMEMSと言われているそうです。

これがどのように再生医療や創薬の分野に使われているのでしょうか?

MEMSを使った再生医療や創薬はどんなもの?

かなりメジャーなものとしては、数cmサイズのチップ上にμm単位の流路(液体を流す道)を作ったものです。
外観はぜひ参考を見てみてください。透明なデバイスに色をつけた液体が流れているのはなかなか綺麗です。(参考

ここに

  • 液体を流して反応させたり
  • センサーを設置して検出したり
  • 細胞を培養したり

と様々な使い方ができます。
私のお気に入りの技術は、溶液の濃度を自動で振り分けることができるものです。(参考

微量の液体を操作しているので、、マイクロフルイディクス(マイクロ流体工学)ともいわれています。
複数かつ少量のサンプルを同時に並列して処理することができたり、1細胞を扱った解析ができたりと、かなりの幅で対応することができる技術です。

複数の細胞を1つのチップ内で配置したり、臓器の一部の構造を再現したり(Organ-on-a-Chip)、それぞれの臓器を再現したチップを連結してみたり(Body-on-a-Chip)という感じで、アイデアの数だけ使い方がある技術だと思います。

MEMSを使った再生医療や創薬の研究紹介

ここからは、実際に私が知っているMEMS(もといマイクロフルイディクス)が使われている再生医療や創薬に関する研究例を紹介していきます。
ものすごくたくさんある中で、知っておいて損はない有名どころだったり、個人的に面白いとかすごいと思ったりしたものです。

肺(肺胞)のモデル(Organ-on-a-Chip)

これはかなり代表的な研究の一つだと思います。(参考)(日本語の解説はこちら
初めて学会でみたときのインパクトたるや、今でも覚えているほどです。

肺の上皮細胞と血管内皮細胞を隣り合った流路を繋ぐ、微細な穴が空いた薄膜の両面に接着させて、「肺胞」と「血管」の環境を作ります。

モデル(デバイス)の断面像(詳しくは論文読んでくださいね!)

肺胞側に細菌を入れると、血管側から白血球が細菌に向かっていく動きを再現したり、流路を膨らませたり、縮ませたりすることで、呼吸に合わせて伸縮する運動を再現したりすることを示したかなりインパクトの大きい論文だと思います。

プリンター技術を利用した3次元組織の構築

インクジェットプリンターのインクヘッドは、数pL(ピコリットル)の液体を、狙った場所に滴下するために、かなり精密な構造をしていて、そこにMEMS技術が使われているそうです。

プリンター技術を細胞に応用して、様々な3次元組織を作ることに挑んでいる研究のレビュー記事はこちら

マイクロフルイディクスの技術をプリンターのインクヘッドに利用することで、細胞の配置を50μm程度のサイズで制御しながら3次元の造形を行なっている研究もあります。(参考

細胞は使っていませんが、これもマイクロフルイディクスの技術を応用して、多色印刷を可能にした3Dプリンターの開発もされています。(参考
細胞分野にも応用したらかなり世界が変わるんじゃないかなと思うような研究だと個人的に思います。

チップ上で複数細胞を一緒に培養して、がんの薬の評価をする

抗がん剤の開発で大事なのが効き目はもちろんのこと、体(心臓など)への毒性の評価と言われています。
ただ、培養細胞を用いた評価で、抗がん剤を普通に細胞にふりかけるだけだと、体内での代謝などで変化した抗がん剤の影響を見ることができません。

そこで、抗がん剤を代謝する肝臓の細胞と、毒性評価のターゲットとなる心筋細胞を1つのチップ上で培養することで、体内の環境を再現した毒性評価ができるのではないか?という研究があります。(参考1)(参考2:京都大学HP

チップごとに臓器を再現して、チップを連結して人体を模倣する

心臓を再現したチップ、肝臓を再現したチップ、腸を再現したチップなどを用意し、それを連結することによって体の中での代謝などの現象を、体の外で人工的に作ってしまおうという研究です。

ブルーバックスのHPでかなりわかりやすく解説されている記事がありましたので、ぜひ読んでみてください。(チップの上の「生命」、ブルーバックス、講談社

まとめ

以上、「MEMSと再生医療と創薬」の研究について解説された記事を読んで学んだことのアウトプット + α で関連研究の紹介でした。

MEMS技術(特にマイクロフルイディクス)はアメリカやヨーロッパなどですごく注目されていて、「日本でもやらないと!」という感じで国のプロジェクトが現在進められていると聞きました。(参考:AMED、再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発

「選択と集中」と言いながら、外国が注目しているから日本も…というセンスで本当に選択ができるのか?というところは疑問が残るところですね。

しかし、かなり面白くてすごい技術なのは間違いないですし、体の中はnm、μm単位の構造がたくさんあり、そこにアプローチするためには欠かせない技術ですので、これからの発展が楽しみです。

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