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大学の教授になるための仕事トレーニングを受けた感想

研究の姿勢
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大学の先生(教授や准教授)になるための仕事の経験は事前に積んだ方が良いのか?

という疑問について以前私の先輩と議論したことについて、実際に私がそのトレーニングを受けてみて感じたことをアウトプットします。

本記事では

  • 教授になるために早期に教授の仕事の経験をしておいた方が良い?
  • 良いのであればどんなことを経験すべき?
  • どんなことはしなくても良い?

という疑問について、実際に経験して感じたことを記していきます。

私の意見としては、

  • 教授の仕事の経験はある程度はしておくべき。
  • 学生指導と共同研究は経験するべき。
  • 教授の研究費申請の手伝いとプロジェクトのミーティング代理はしなくて良い。

と感じました。

番外編として、学術振興会特別研究員を通して学んだ「大学の規則の把握」「研究費の使い方について」は、その身分・自分の研究費を持っていないと実感が湧かないですが、+αで経験した方が良いと感じました。

ただし、経験しているから教授になれるかというのは別問題ですし、博士課程やポストドクター(ポスドク)がそれを経験する適切なタイミングかどうかというのはまだまだ疑問なところもあります。
あと、アカデミアで生きていくためには業績が大切なので、そこに注力した方が生き残る確率が高くなるのでは…と感じる部分もあります。

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大学教授の仕事を経験してみたこと

一言で教授の仕事といっても、大学教授はかなり多くの仕事をしていますね。

  • 授業
  • 採点
  • 教授会
  • 学部学科の雑務
  • 学会の役員としての業務
  • 研究費の獲得
  • 学生指導
  • 共同研究者との打ち合わせ
  • プロジェクトの管理      などなど

パッと思いつくものを挙げてみてもかなり多いですよね。
大抵は助教授などがかなり分担しています。稀に、これを一人でこなす超人もいるのでドン引きです。

今回、私は学術振興会特別研究員(PD)という一種のポスドクの立場で研究室に所属していた時に、教授の方針で下記の4つを経験した感想をアウトプットします。

  • 学生指導
  • 研究費申請
  • 共同研究の管理
  • プロジェクトのミーティング代理

学生指導

学生指導については修士課程4人の指導をさせてもらいました。
状況としては1年目に与えられていたテーマがどれも芳しくなく、2年目からテーマを変えて取り組むということ。

テーマの設定と、実験方法、研究の考え方について指導しました。
テーマ設定については、残りの期間が1年も無いので、私が以前に事前検討していたいくつかの候補のものを学生の興味と擦り合わせて決定しました。

各学生について関連論文をある程度は調べておいて、きちんとディスカッションできるようにということは常に意識していました。特に、「新規性は何か」についてはテーマを考えた責任として常に持つようにしました。

実験指導については主に実験手技についてですが、原理については特にしっかりと解説するようには心がけていました。

研究費申請

研究費申請については主に教授の申請書の補助をしていました。
補助というのは全てを書くのではなく、研究に関する私の分野の部分や予算の使い方についてを担当させてもらいました。

意識したところは、出す研究費のレベルが高いものであることと、何年間のプロジェクトであるかというところ。
この定められた期間内にできうる限り高インパクトなものを確実に実現できると審査員に判断してもらうためにはどう書く?ということを必死に考えました。

共同研究の管理

共同研究の管理は4テーマぐらい担当させてもらいました。

主に、実験担当するものや、実験補助をするもの、ディスカッションのために関連文献を読み漁り、結果については分担しながら論文を書くということをしていました。
実験関連以外にも、食事会のセッティングなどについてもさせてもらいました。

プロジェクトのミーティング

プロジェクトのミーティングについては主に教授が抱えるプロジェクトの会議の代理のようなものをしました。
プロジェクトの節目での結果の報告、先行研究の調査、ディスカッションを経験することができました。

もちろん学術振興会特別研究員として自分のメインの仕事も

上記に加えてもちろん自分の仕事である学術振興会特別研究員としての仕事も行いました。
研究専念義務があるので当然ですね。

上記の負担をしながら果たして研究専念義務が果たせていたのかは疑問ですが。

教授の仕事を経験してみた感想

メリット

  • 教授の仕事の責任を垣間見ることができる
  • 名前を知ってもらえる

教授の仕事の責任を垣間見ることができる

今回私が担当させてもらったトレーニング内容については、あくまでトレーニングであるということで、私の責任自体は非常に軽いこと。
つまり、失敗しても大目に見てくれるということで、少しは余裕を持って取り組まさせてもらえたわけです。

が、その少しでも私にとってはかなり大きな負担でした。
教授はこの責任を全部背負っているのだな…ということを知ることができたのは大きな経験だったなと思います。

名前を知ってもらえる

今回担当したものについては、外部の先生とのやりとりもかなり多かったです。

失敗しても教授が責任を持ってくれる。成功すれば相手に高く評価してもらえるというかなりイージーモードな状態だったと思います。
少ないリスクで大きなリターンが得られるという素晴らしい状況ですね。

後継を育てるにはなかなか良い条件の整え方なのかなと感じました。

デメリット

  • 割と破綻している

割と破綻している

今回私の身分としては研究室雇いのポスドクではなく、学術振興会に属する特別研究員でした。
お金の出どころは学術振興会なので、申請した研究は遂行する義務があります。
その中で上記の仕事内容はかなり負担が大きかったです。

午前、午後のほとんどの時間がトレーニングに費やされ、一区切りついた時には夕から夜でした。
そこから自分の仕事をするにも体力残りわずかでかなりヘトヘトな中取り組んでいたのがなかなか辛いところでした。

また、教授のポリシーが「締め切り間際に短時間でやる」だったので、明日締め切りのものが突如やってくるということが多々ありました。
そんな時は実験を中断してやらざるを得ず、結構破綻した実験も数知れずという状況だったのもしんどかったですね。

まとめてみて

上記のメリットデメリットを踏まえて、私がさせてもらった教授の仕事のうち、経験してよかったこと。経験しなくてよかったことを挙げていきます。

学生指導

これは将来大学教員になるならば必ず経験しておくべきところだと感じます。
特に大学教員よりも年も身分も学生に近いので、気軽にコミュニケーションを取ることができ、研究指導のフィードバックを得られることはかなり大きいように感じました。

教員と学生の問題は数多く存在するので、それを自分がしないためにも良い学生指導方法は学生本人から聞けるうちに聞いた方が良いですね。

研究費申請

これは経験しなくても良いと感じました。
というのも、自分で申請できる研究費があり、そちらに全力を注いだ方が勉強になるからです。

教授レベルの申請書はレベルが異なりすぎるので、勉強になる部分は少ないように感じます。教授の申請書を参考に見せてもらう程度で十分です。
手伝ったところで表向きの自身の業績は増えないので、自分のことに専念した方が有意義に思いました。

共同研究の管理

共同研究に関しては、経験しておいた方がよいと感じました。

責任は軽いとはいえ、外部の人とのやりとりなので、無責任なことは絶対にできません。精神的にかなり疲れます。

しかし、外部に自分のことを知ってもらう大きなチャンスであり、全力で取り組んで損は絶対ありません。
食事会など外部研究者との関わり合い方を知ることができるのも大きな経験になります。

ただ4つもやる必要はないと思いましたが。

プロジェクトのミーティング

これは経験する必要はないと感じました。

多忙で手が回らない教授の手助けをしている感じが多々ありました。
普段の自分の研究やディスカッションをしっかり行っていれば対応できるので、あえてトレーニングとして行う必要はないと思います。

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まとめ

本記事では、大学の教授になるための仕事トレーニングは必要?ということで私が体験したことをアウトプットしました。

数多ある教授の仕事のうち、

  • 学生指導
  • 研究費申請
  • 共同研究の管理
  • プロジェクトのミーティング代理

をさせてもらいました。

結論としては、上記のうち

  • 学生指導
  • 共同研究の管理

は絶対に経験しておくべきだなと感じました。

それ以外は自分の研究を本気でしっかり取り組めば身につくことなのであえてやらなくても良いなと思いました。

また、指導する側がちゃんと管理して指導できる人でないとトレーニングは成立しないなということも感じました。
残念ながら大学教授といえどピンキリなので、ちゃんとできる人でない限りは、上記のことをさせられても「いいように使われるだけ」になってしまうので、トレーニングを受けるべきか否かの見極めは大事だと思います。

という感じで私が経験したこと感じたことをつらつらと記しました。
しかし、大学教授になるためのカリキュラムなんてものは公に存在せず、師匠と弟子のような関係で引き継がれることが多いように感じます。
なので、「そもそもトレーニングが必要かどうか」や「どの時期にすべきか」なんてこと自体語るのが無理がある気もしますし、議論してみるのも面白そうです。

番外編:学術振興会特別研究員で学んだこと

大学の規則について把握すること

大学の規定って、かなりお堅い文章で細かく規定されているように感じます。
しかし、意外と曖昧なもので、学振の研究員の立場はかなりあやふやなものが多いです。

一応は大学に属しているのに大学のシステムを使えないところがあったりなかったり。
外部資金なんかは提供元と大学で意見が食い違ってて、せっかく取得しても使えなかったりとかなりいい加減なところが多いです。

事務員さんと相談できる関係をうまく構築するのが大事だなと感じました。

研究費の使い方について

学振で渡される研究費(科研費)は、「自分が使用できる権限があるが、自分のお金ではない」というなんとも不思議なお金です。
位置付けとしては公のお金です。
研究費を使うに当たって、どこまでが公的利用で、どこからが私的利用になるのか特に注意が必要です。
政治家なんかもよく政治資金の私的利用で問題になっていますが、研究者も同様です。

そして厄介なことにこの境界線は大学によって違うそうです。
文房具の購入がダメなところもあるし、OKなところもあります。逆に、研究費以外で購入したものを研究室に持ち込んではいけないというところもあります。

不合理なところが多々感じられるところではあるので、問題を起こさないためにも大学の研究費担当の事務員さんと仲良くなって気軽に相談できる関係構築をしておくと良さそうです。

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