※本記事内に広告を含む場合があります。
PR

惹きつけられた学会発表プレゼンについて考えてみた【イントロが大切】

研究の姿勢
スポンサーリンク

学会発表でなかなか話を理解してもらえない、興味を持ってもらえない、もっとわかりやすいプレゼン資料を作りたいという人は多いかと思います。
私も日々非常に悩んでおり、たくさんの人の発表を聴いて、改善を取り組んでいます。

そこで、今回はこれまでに多数経験してきた自分の発表、人の発表を通して学んだことをアウトプットしていきます。

スポンサーリンク

惹きつけられたプレゼンテーション

学会発表で相手を惹きつけるために重要なのは聴衆を置き去りにしないことだと思います。

なぜなら、始めの掴みがバッチリだったとしても、途中でわからなくなってしまうと、聞くことをやめてしまうことが多いからです。
研究の途中過程も大事ですが、重要なのは何が明らかになったのか、何ができるようになったのかという結論が重要なので、最後まで聞いてもらうことが大事です。

学会の特性上、基本的に参加者はその手のプロなので、実験方法や解析方法なんかについては理解している人は多いでしょう。
ですので、ここの部分についての細かな説明はくどくなってしまうのであっさりで良いと思います。

しかし、実験方法に入るまでの段階は、それぞれ、得意としている分野によって全然知識量が違って、基本的にプロでも知らないことの方が多いです。

例えば、私の場合は、細胞+細胞培養の材料の複合分野なのですが、細胞の専門の人に材料を話しても基本的には知らないことの方が多いです。
また、細胞培養の材料が専門の人に話しても細胞の話は理解してもらえないことが多いです。
逆に、細胞特化型や材料特化型の人の話を私が聞いても、深過ぎて理解できないことも多いですね。

このように同じ細胞という分野でも、中で細分化され過ぎているのでなかなか複雑なのが現状です。
例えば、一言で細胞といっても、細胞表面のタンパク質、細胞の中のタンパク質、遺伝子、細胞内のシグナル伝達、細胞の集合体などなど数え上げたらきりがありません。

基本的に、小さな学会は本当にピンポイントの分野の人たちが多いので、話は通じやすいと思います。
しかし、大きな学会になるほど、様々な分野の人が集まるので、話はだんだん通じにくくなります。

ではどのように相手に理解してもらえるような資料を作ったら良いでしょうか。

それは、イントロダクションでいかに自分の研究を理解してもらえるかということです。

そしてイントロダクションに含めるポイントとしては次の3つが重要だと思います。

  • 研究のターゲットは何か
  • 研究の重要性は何か
  • 研究の出口、応用は何か

研究のターゲットは何か?

自分の分野は何かということを明らかにする

はじめに記したように、分野は非常に細分化されているので、自分はこの分野ですよと宣言すると相手のスイッチを強制的に切り替えてやることができます。
この宣言をしないと、途中で「あぁ、こういう分野の人か」となることが多いです、なので、始めから宣言しておくほうが、相手にとって親切ですね。

だいたい、学会ではセンションで区切られているので、前提と言えば前提ですが、たった十数秒なのでセッション分野+もう一つ細かい分野ぐらいの自己紹介はした方が親切ですね。

研究のターゲットを示す3つの項目

  • その分野ではなぜそれをしたいのか
  • その分野ではどこまでできているのか
  • 自分の研究はその研究分野でどの部分に当たるのか

この3つを説明することによって、自分の研究が広い分野の中のどの部分に位置するのかということを示します。

その分野ではなぜそれをしたいのか

行動の動機に当たる部分です。
基本的に、何か行動をする際には、何か理由が必ずあるはずです。
この理由というものが非常に重要で、何かを理解するときには理由と行動の一致が非常に重要です。

理由がない、理由と行動が一貫していないというは疑問や不快感を相手に与えるので、説明することによって取り除く必要があります。

その分野ではどこまでできているのか

研究は歴史の積み上げになります。
過去に研究者が取り組んで蓄積してきた内容があって、そこに、自分ははどのようなものを蓄積するかということです。
なので、これまでにどのようなものが蓄積されてきているのかということを説明することは、自分がこれから蓄積するものが妥当なものか、どれぐらい意味を持っているのかということを明確にする上で非常に重要な要素となります。

自分の研究はその研究分野でどの部分に当たるのか

これは1項目前と被りますが、自分の研究を発表する上で、これまで蓄積されてきた歴史の中で、どの部分に蓄積するのかということが重要です。
研究の発表をして、受け入れられるや認められるということは、その研究は歴史の蓄積として妥当ですよということを認めてもらうことです。
なので自分の研究がどの部分に位置しているのかということを明確にできないと、周りの人たちはその判断がしにくくなるということです。

評価するのは自分では他人なので、他人にいかにわかりやすく思ってもらえるかが勝負ですね。

本ブログをみていただけたらわかりますが、私もまだまだですので精進しなければです。

研究の重要性は何か

この項目については研究のインパクトを示すことができるかどうかということです。このインパクトは大きければ大きいほど、人間は素晴らしいと考えるので、いかに自分の研究のインパクトを大きく見せることができるかが勝負です。
インパクトに関わる項目としては下記の3つが当てはまります。

  • この研究ができることは何か?何ができるようになるのか
  • 他と比べて何がすごいのか
  • この方法でないとできないことは何か?(オリジナリティ)

この研究ができることは何か?何ができるようになるのか

応用系の研究をしている人はできないと話になりませんが、基礎系の人だと割とおろそかになっている部分だと思います。
確かに、原理原則の解明は重要です。
そして、それをどう利用するのかというのは応用系の仕事だとは思います。

しかし、自分自身で研究の出口になる部分を理解して示すことができれば、この研究の価値がもっと広がって見えるようになると思います。

他と比べて何がすごいのか

安直にいうと他の研究と比較するということになります。
多いのが、材料を変えて同じような実験をして似たような結果が得られたという研究があります。
これを悪いとは思わないです。ただ、似たような実験をするのであれば、他研究でできていることできないことと自分の研究だからこそできることを示すことができないと、「ただ材料を変えただけか」と思われてしまいます。
これも自分の研究の位置付けをするということになりますね。
これまでの研究をものさしにして、自分の研究がどの位置にいるか、どのくらいのスケールなのかを明らかにするということです。

この方法でないとできないことは何か?(オリジナリティ)

やはり一番多く問われるのがこのオリジナリティです。
言い換えると独創性があることです。
これはおそらく非常に難しいと思います。

というのも、自分の研究室でも構えてない限り、基本的に根幹の技術は研究室の技術を使うことになります。
ということは、技術についてオリジナリティは研究室のものであって自分のものではありません。
学会発表では「自分の研究のオリジナリティ」を問われることがあるので、技術のその先にオリジナリティを示す必要があります。

ここは私も非常に悩んでいるところで、多くの人に理解してもらえるようなオリジナリティをなかなか示すことができず、毎回苦戦しています。

オリジナリティの説明は屁理屈的にいう人が多いですが、いかに理屈に聞こえるように屁理屈を言えるかというところがポイントだそうです。

研究の出口、応用は何か

この項目については、研究が何に応用することができるのか、どこまで応用できるのかと言うことを示すことができるかということです。
ここを示すことができると、やはり「研究の目的」がとってもはっきりわかるようになると思います。

また、自分の分野の外のことについても触れることができるので、それこそ他の分野の人の目に止まれば運良く共同研究に発展することもあります。

出口や応用を示すポイントとしては以下の3つでしょうか。

  • 身近な問題の何を解決できるのか
  • 結局何がしたいのか
  • 応用の期待値はどれくらいか?

身近な問題の何を解決できるのか

これは研究者のよくないところの一つな気がしますが、研究をより身近に感じてもらうためには、やはりどれだけ身近なところに関わっているのかということを示すことができるかだと思います。
よく「難しい話をいかに簡単にできるかが大切」というようなことを聞くかと思います。

この簡単に言うのが難しいのですが、その中でも比較的に簡単なのが身近なものにどう影響を与えるのか、どんな問題を解決してくれるのかと言うことを説明できれば、興味と理解を示してもらえる確率が上がりそうです。

結局何がしたいのか

これも繰り返しになると思いますが、結局この研究は色々考えて、作って、解析するけど、何がしたいのかといことをいかに頭の中に残してもらうかということです。
これは「問題提起」と「目的」をシンプルかつインパクトがあるように示すことができるかとうことですね。

いかにみんなが納得できる問題提起ができるか、いかに合理的な目的を示すことができるかと言うことが勝負ですね。

応用の期待値はどれくらいか?

この研究がどういったことに応用できるのか、またどこまで応用できるのか、その先に進むためにはどういったことがこれから必要になるのか。ということを示すことができたらとっても明確になると思います。

先ほども書きましたが、研究は歴史に積み上げていくようなものなので、この研究はどこに積み上げて、この上に何が積み上がるのだろうということを示すことで、わかりやすさが格段にアップすると思います。

まとめ

以上、長々と学会で発表をして、聞いて感じた部分と考えた部分についてのアウトプットとなります。
まとめると、

  • 研究のターゲットは何か
  • 研究の重要性は何か
  • 研究の出口、応用は何か

を常に意識してイントロダクションを作ることができれば、格段に理解してもらえる確率がアップすると思います。
もちろん、いろいろ項目をあげましたが、これらをいかにシンプルにかつ簡単に書いて説明できるかというところが、能力の現れるところでしょうか。

たくさん試して、たくさん批判という名のアドバイスをもらって改善していくしかありません。

正直なところ、研究結果はただの確認作業みたいなものなので、その研究の理論について重きをおいた方が発表はよくなります。
理論がしっかりしていれば、実験をむやみやたらにたくさんしなくても、ポイントをおさえて実験していくことで、少ないデータで明確に結論を示すことも可能です。

私自身もまだまだなので、ポイントを常に意識して、研究や学会に取り組んでいきたいですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました