本記事では「実験医学 2021年11月号」を読んだ感想をアウトプットします。
最新の生命科学、医学の情報がわかりやすくまとめられた雑誌です。
おそらくバイオ系医学系の研究室には常備されていると言っても過言ではないくらい有名な雑誌ですね。
11月号の実験医学では、
- 特集「ヒトの発生に挑むオルガノイド」
- 研究者ポッドキャスト
- ノーコード画像認識AI
- 論文執筆術
の記事が、個人的にかなり参考になりました。
この他にも良い記事がたくさんあり、ゆっくり時間をとって読んでよかったなと感じる雑誌でした。
「実験医学 2021年11月号」を読んだきっかけ
大学の研究室にいた時は、研究室で購読されていたので、よく読んでいたお気に入りの雑誌です。
大学を離れて、読まなくなってしまいましたが、オルガノイドの特集があると聞き、組織構築の研究に携わっている者としては読まなくては…という使命感から購入しました。
自分で購入して読んでみて思うことが、「大学にいた時は、雑務などの仕事に追われてなかなかじっくり全部読んだことなかったな」ということでした。
時間を作ってじっくり読むと、生命科学や医学の中でのいろいろな分野や、その世界での知らなかったことに触れることができて改めて良い雑誌だなと感じました。
これを期に、今後も購読しようかなと思いました。
「実験医学 2021年11月号」を読んだ感想
ヒトの発生に挑むオルガノイド
「オルガノイドとは何か」、「オルガノイドはどうやって作るのか」、「オルガノイドの応用例は何か」についてまとめられた特集記事がありました。
特集されていた臓器は、
- 神経
- 呼吸器
- 肝臓
- 四肢
- 腎臓
- ヒト胚
について、それぞれのどのような取り組みから始まり、現在はどこまでできているのかが解説されていました。
各臓器のオルガノイドの開発の歴史、どんな原理を使って作っているのか、これからの課題は何かを一通り掴むことができるような内容で非常に勉強になりました。
オルガノイドは、ヒトの発生を模倣することで目的の臓器の構造を作る技術のため、発生学が基盤になっていることは把握していました。
ただ、発生学としてどこまで明らかになっているのかについては、専門外だったので理解していなかったのですが、あるタイミングで因子がどのように分布しているのかなどがかなり詳細に明らかになっていることが、記事を読んで知って驚きました。
オルガノイドといえば、臓器の構造を生体外で構築する技術として、非常に注目されていますが、課題としてどこに目的の構造ができるかわからない、制御できないことが課題であるとこれまで聞いていました。
その課題はやはり現在もあるようで、あるタイミングでどこに何を作用させるかという時間と空間の制御が必要であることが、どの記事でも課題として考えているように思いました。
中には、オルガノイドの発生状態をみながら、局所的に因子を添加する技術を用いているものもあり、組織構築を行う上でも参考になりました。
また、オルガノイドが臓器様の構造を持つということは、3次元的に大きな構造になるということで、内部への栄養供給をどう解決するかという課題も重要視されている様に感じました。
組織工学とも共通する課題なので、より発展していくためには避けては通れない課題だと思います。
工学側から組織構築の研究に携わっている身としては、上記の様な課題を解決できるような技術を開発していきたいなと改めて思いました。
オルガノイド技術の発達で再生医療や創薬開発がより進んでいく期待感はもちろんですが、純粋にオルガノイドで臓器を作ることにわくわくするような気持ちが掻き立てられ、とても楽しく感じる特集でした。
研究者ポッドキャスト
「ポッドキャスト」とは音声ファイルをネットで配信するものとのことです。
(私はダウンロードして聴くラジオ的なものと解釈しています。)
現在、研究者の間でも、ポッドキャストで研究のお話や論文紹介などを行う活動を行なっている方々がいるそうです。
実は私もTwitterで、ポッドキャストの活動をされている方をフォローしており、どんな感じなのかの雰囲気の把握はしていました。
(大変申し訳ないことに、タイミングやポッドキャストに触れたことがないという言い訳で聴けていませんが…)
この記事では、研究者の方々がポッドキャストをどのような経緯で収録されたのかや、どんな内容のものがあるのかが紹介されており、とても楽しそうな活動だなと思いました。
これを期にポッドキャストに触れてみようと思います。
また、ポッドキャストではないですが、動画などの配信プラットフォームで配信している方のお話なんかも聴いてみて、音声で発信してリアルタイムで研究のお話で盛り上がるのはやはり楽しいものだなと改めて思います。
私もブログで文章という形で発信(?)していますが、音声での発信も楽しそうだな、自分もやってみたいなと感じました。
気が向いたら私も音声でのアウトプットを挑戦してみようかなと思ってしまいました。
ノーコード画像認識AI
最近噂になっている「ノーコード」の画像認識AIについての記事もありました。
恥ずかしながら自発的に調べておらず、聞いた話で、コードを自分で打たなくてもプログラミングができるという程度の認識しかありませんでした。
記事では、googleが提供しているAutoML(automated machine learning)を使った、画像認識AIモデルの構築について解説されていました。
私自身、実際にpythonで機械学習を行なっていますが、初めのうちはかなり勉強して苦労しながらプログラムを作りました。
AutoMLでは、この苦労をせずに簡単なUI操作のみで、自分の用途に合わせた学習モデルが作れてしまうというのだから驚きです。
確かに、実際に自分の手でプログラミングをしてモデルを作る中で、プログラミングすることはあまり根本的に重要ではないように思います。
大事なのは、使用するデータの前処理やパラメーターの設定、解釈の部分にあると感じるので、プログラミングではなく、データの解釈というより重要な方に力を割くことができるのがかなり便利なのではないかと思いました。
論文執筆術
連載記事でライティングのプロによる「論文執筆術」という記事がありました。
残念ながら、全6回のうちの最終回とのことでしたが、これだけでも十分に参考になることが書かれていました。
- 考察に書くべきこと
- 考察の構成
について、なぜその書き方が良いのかという理由も、とても共感でき納得できるもので、これからの文章執筆で取り入れたい内容だと感じました。
何事も、1番大切なことに常に意識を置いておくことが大事なことなのだなと改めて認識させられました。
嬉しいことに、この連載記事はwebで公開されており、読むことができるとのことで、早速第1回から読んでいきたいと思います。(参考:羊土社 実験医学)
まとめ
以上、「実験医学 2021年11月号」を読んだ感想のアウトプットでした。
11月号の実験医学では、
- 特集「ヒトの発生に挑むオルガノイド」
- 研究者ポッドキャスト
- ノーコード画像認識AI
- 論文執筆術
が個人的にとても印象に残る記事でした。
改めてじっくり読んで、生命科学や医学の世界についての情報に幅広く知ることができる素敵な雑誌だなと感じました。
ぜひこれからも購読して読んでいこうと思います。
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