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実験医学2022年1月号を読んだ感想【今だからこそヒト免疫学を学ぶ】

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本記事では「実験医学 2022年1月号」を読んだ感想をアウトプットします。

最新の生命科学、医学の情報がわかりやすくまとめられた雑誌です。
おそらくバイオ系医学系の研究室には常備されていると言っても過言ではないくらい有名な雑誌ですね。

2022年1月号の実験医学では、

  • ヒト免疫学の特集
  • 臓器チップを用いた気道疾患モデル
  • 蛍光顕微鏡使い分けガイド

などなど、今月号もとても面白く、勉強になる記事がたくさんありました。

書籍情報

タイトル:実験医学 Vol.40, No.1, 2022 1月号
出版社:羊土社

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「実験医学 2021年12月号」を読んだきっかけ

大学から離れて、バイオ系の研究の世界の情報にアクセスするためのツールとして購読する価値が大きいなと思い、2021年11月号から購読しました。

前回の感想記事はこちら

2022年1月号で特に私自身面白いと思ったのが下記の内容です。

  • ヒト免疫学の特集
  • 臓器チップを用いた気道疾患モデル
  • 蛍光顕微鏡使い分けガイド

「実験医学 2022年1月号」を読んだ感想

ヒト免疫学の特集

特集の大きなテーマとしては、「ヒト」免疫学とのことで、なぜ今ヒトに焦点が当たっているのかが重要なところだったと思います。

ウイルスに対するワクチンの開発が世界で初めて成功した1798年からこれまで、免疫の研究は主に動物モデルを使用してきたそうです。
しかし、マウスなどの動物とヒトでは免疫系の違いが大きく、動物モデルでの知見をヒトで応用することが難しいそうです。

実際に、マウスでは治療効果のある方法を何百通りも報告があるのに、ヒトでの治療方法はまだ開発されていないこともあるそうです。

そして、現在治療方法として用いられている手法の開発は、動物モデルでの知見ではなく、ヒト組織での知見であるものだったりと、種差の違いの影響力を強く感じました。

この種差の影響という点については、私もin vitroの系で薬剤評価系の研究に携わっていたことがあるので、とても納得する部分でした。

記事を読んでいて、免疫系に関わる細胞は体の中でダイナミックに動いていることが読み取れましたが、この免疫系をヒト細胞でモデル化する際に、どの程度までの組織が必要なのかがとても気になりました。

ヒトの体をマウスなどのように使用することは人体実験になるのでできませんが、ヒトの組織を使用することで実験をすることは可能のようです。

三次元組織の構築の分野(組織工学)でも、人工的に作った組織に免疫系の細胞を混ぜる発想や、オルガノイドによる三次元組織を用いた薬剤評価の研究が盛んになってきました。

このような人工的に作った生体組織が免疫系の研究ではどれぐらい魅力があるものなのか、とても気になりました。

この特集では、免疫系の基礎から臨床、生体イメージングまで幅広くまとめられており、話題のPD-1やCAR-Tについてもとてもわかりやすく解説されていました。

免疫学については専門ではないので、免疫細胞がどんな種類があるか程度の知識しかありませんでしたが、
そんな私でもなんとかついていくことができ、非常に読み応えのある内容でした。

臓器チップを用いた気道疾患モデル

気道疾患モデルを臓器チップで作る研究の記事についても面白かったです。

病気の原理や治療法の開発として、細胞単体に目をむけるものがある一方で、細胞集団も重要になってきます。
実際に病気の症状は、組織の機能不全として表現されることになるので、細胞の集団である組織の働き(機能)をいかに再現したモデルを構築できるかが重要になってくると考えます。

掲載のトピックスでは、線毛上皮細胞の線毛協調運動についての機能に注目し、このモデルの構築への取り組みがまとめられていました。

ヒトiPS細胞から線毛上皮細胞への分化誘導は達成されていたとのことで、いかに細胞の向き(極性)を制御した組織を作るかというところがポイントかと思います。

鍵になる因子は、液流刺激や、機械刺激が重要なのではないかとのことで、マイクロ流体技術を用いて培養液を流しながら培養することで、目的のモデルの構築ができたとのことです。

マイクロ流体技術を用いた組織構築はOrgan-on-a-chipなどですでに有名な技術ではありますが、改めてその威力を実感しました。

一つの技術を違った視点やアイデアから様々なモデル構築に応用されて広がる様子は見ていてとても面白いものがあります。

iPS細胞の研究が進む中で、以前までは「いかに目的の細胞を作るか」というところが焦点でした。

病気の解明や治療法の開発への応用に進むにしたがって、「いかに目的の機能が発現した組織を作るか」というところにシフトしており、この分野についてより発展していくといいなと組織工学の立場から思います。

蛍光顕微鏡使い分けガイド

蛍光顕微鏡は、現在バイオ系に関わっている人で使用していない人の方が珍しいと言っても過言ではないくらい、重要な装置だと思います。

掲載されていた記事では、

  • 蛍光顕微鏡の基礎知識
  • 先端顕微鏡についての解説
    多光子顕微鏡
    超解像顕微鏡
    ライトシート顕微鏡
  • どこで使用することが可能か

についてまとめられていました。

個人的に正直この記事のためだけにこの号を読むのもありなのではないかと思う記事でした。

普段何気なく使用している装置だからこそ、しっかりと原理を理解しておく必要があります。

使用方法を間違えていると、間違えたデータの取得に繋がります。

また、目的の画像を取得するために既存の方法では困難な場合、何を改善すれば良いのかを導くためにも原理の理解は大きく役に立ちます。

そのためのきっかけを知るための知識の導入としてとても役に立つ良い記事だったと思います。

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まとめ

以上、「実験医学 2022年12月号」を読んだ感想のアウトプットでした。

2022年1月号の実験医学では、

  • ヒト免疫学の特集
  • 臓器チップを用いた気道疾患モデル
  • 蛍光顕微鏡使い分けガイド

が個人的にとても印象に残る記事でした。

おまけの、GitHub活用術についても非常に有用な記事でした。
Pythonなどのプログラミングの勉強をしているとたまに出てくるGitHubですが、正直何をどのように使用するのか具体的に理解をしていませんでした。
掲載記事では、「研究室でのGitHubの活用」という具体的な例で説明されており、とてもわかりやすかったです。

生命科学や医学の世界についての情報を幅広く知ることができる素敵な雑誌だなと思います。
そして、この情報を通して、考えたこと・思ったことから、「自分はどうする?」を考えさせられる良い時間になるなと思いました。

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