RNAワクチンの歴史と基礎から創薬応用を知る【実験医学2022年3月号感想】

Science Memo
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本記事では「実験医学 2022年3月号」を読んだ感想をアウトプットします。
最新の生命科学、医学の情報がわかりやすくまとめられた雑誌です。
おそらくバイオ系医学系の研究室には常備されていると言っても過言ではないくらい有名な雑誌ですね。

2022年3月号の実験医学では、

  • RNAワクチンの歴史と基礎から創薬応用についての特集
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンイノベーションが手がける日本でのライフサイエンスイノベーション
  • ラボ新入生へ贈る若手PIからのエール

などなど、今月号もとても面白く、勉強になる記事がたくさんありました。

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「実験医学 2022年3月号」を読んだきっかけ

大学から離れて、バイオ系の研究の世界の情報にアクセスするためのツールとして購読する価値が大きいなと思い、毎月購読しています。

普段触れることが少ない分野について触れるきっかけになる、読み易いけれど読みごたえがある素晴らしい雑誌ですね。

前回の感想記事はこちら

2022年3月号で特に私自身面白いと思ったのが下記の内容です。

  • RNAワクチンの歴史と基礎から創薬応用についての特集
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンイノベーションが手がける日本でのライフサイエンスイノベーション
  • ラボ新入生へ贈る若手PIからのエール

「実験医学 2022年3月号」を読んだ感想

RNAワクチンの歴史と基礎から創薬応用についての特集

3月号の特集のテーマは「RNAワクチンの先の基礎研究 核酸と生体防御のメカニズムを解き明かす」とのことで、昨今話題になっているRNAワクチンについての歴史と基礎研究から創薬応用まで解説された記事が特集されていました。

RNAワクチンについてはなんとなく理解はしていたつもりになっていたものの、

  • いつからどのように開発されてきたものなのか?
  • どのように作られているのか?
  • 原理は何か?

など改めて考えると、実は理解していないことが多かったです。

この特集では、

  • RNAワクチンの開発の歴史
  • 体内でのDNAやRNAの振る舞いの原理
  • RNAワクチンが達成されるために必要な技術
  • RNAを用いた創薬応用

などなど、RNAワクチンについての基礎的な部分から創薬応用までを知ることができる素晴らしい特集でした。

RNAは2020年ほど突如現れたような印象を受けますが、実際には1989年ごろから研究の報告例があげられていたそうです。
実際に実用化されたのは2020年のパンデミックに対してが初とのことですが、2017年にはすでにBioNTec社が進行性メラノーマに対しての臨床試験が開始されていたとのことです。

通常のワクチンと聞くと、タンパク質を体内に投与するイメージがありますが、RNAワクチンはタンパク質の設計図となるRNAを投与することによって、体内でタンパク質を生成するものとなっています。
投与するRNAの配列を変えるだけで様々な病原体に対応でき、汎用性や安全性が高いことが特徴とのことです。
ただし、RNAは非常に不安定で分解されやすく、細胞にも取り込まれにくいため、DDS(Drug Delivery System)の技術が実はかなり重要になっていそうです。

RNAをワクチンとして使用する意外にも、成長因子や転写因子をコードしたRNAを用いることによって、虚血性心疾患の治療、変形性間接症といった治療にも応用が取り組まれているとのことで、再生医療とも相性が良いとのことで注目な技術だと思いました。

この特集を読んだ感想として、
昨今非常に大きな注目を浴びているRNAワクチンについて、どういうものかは知った気になっていましたが、いつからどのように研究されたものが実用化されたものであったというのは知りませんでした。

この特集を読んで、30年の歴史があるものだったり、実はDDS技術が大きな支えになっていること、作製にはマイクロ流路を使用していることなど予想していなかったことを知ることができたことが収穫でした。

非常に不安定なものであるRNAを体内で機能させるために、

  • 体内ではどのようにDNAやRNAが認識されているのか
  • 投与したRNAが分解されずに機能を発揮するためにはどうしたら良いのか

について基礎研究を通して得た知見から、生体の仕組みの隙間を突くような仕組みを導入していたりと驚きが多かったです。

基礎研究で生体の原理を知ることができたからこそ応用に繋がった例であり、基礎研究の重要さを改めて実感する特集だったと思います。

新しく実用化されたもので、聞き馴染みのないものであるからこそ不安感や怖いと感じますが、いざ原理を知ってみるとフラットな気持ちで見ることができるものだなと感じました。
怖いや不安な気持ちは「知らない」からくることが多いそうなので、「知る」に変えていくことが解決策だと思います。

時代を経るごとにこれからどんどん新しい技術が出てきます。
その時に、少しでも怖いや不安という気持ちがあるのであれば、自分が納得するまで「原理」を理解することで、不安感などは解決していくことができますし、そのような向き合い方をしていかなければならないと思いました。

ジョンソン・エンド・ジョンソンイノベーションが手がける日本でのライフサイエンスイノベーション

ジョンソン・エンド・ジョンソンイノベーション(Johnson & Johnson Innovation, JJI)の、日本でのライフサイエンスイノベーションについての取り組みの記事がありました。

JJIが2020年に武田薬品工業株式会社と湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)と「病のない世界、研究インキュベーション事業公募」というプロジェクトを共催していたとのことです。

日本は多くのノーベル賞受賞者を輩出したり、質の高い学術研究があったり、技術の商業化の可能性があるとのことです。
ただし、学術研究と商業化との間の隔たりがかなり大きいため、協業することで乗り越えて行こうとのことで、上記のような取り組みを行っているそうです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンといえば、製薬会社の世界の売り上げトップ5に入るほどの大きな企業ですが、世界中で有望な研究シーズや技術を育てる取り組みをしているとのことで流石の規模感に驚きました。

シーズ育成支援を目的とした事業公募を行い、採択されると、湘南アイパークでの起業支援スペースの提供、年1千万円の研究費が3年間支援、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどからのメンタリングサポートが受けられるとのこと。
世界に通用するような技術を磨き、売り込みができるとてつもないチャンスとなるような公募だと思います。

記事を読んでいて、すぐには利益には繋がらないことでも、世界中で技術を育成して事業まで発展させようとする姿勢を企業で行っているのはただただすごいと思いました。

こういうことを本当は国のプロジェクトで行っていかないといけないのではないかなと少し思ったりします。

ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの活動の素晴らしさを知る一方で、
日本はアカデミアでも企業でもお金が厳しく、目先の利益に囚われ、育成へ力を割く余力がなくなっているそうですが、世界の大きな企業は育成へもしっかり力を入れているようで、数年後〜数十年後この差はさらに大きくなるんだろうなと感じる記事でした。

ラボ新入生へ贈る若手PIからのエール

「ラボ新入生のあなたへ 若手PIが贈る5つのエール」という企画記事がありました。

パンデミックの影響で人と人との繋がりが少なくなっていることが問題視されている昨今です。
ラボ配属に当たっての研究生活の心構えなんかは、マニュアルみたいなものはなく、人から人へ伝わるものが今でも多いと思います。

そんな情報を伝えるための企画記事として、若手PI5名からがラボ新入生へ、自身の失敗談や経験談などを交えて、研究への心構え、研究の面白さ・魅力を伝える素晴らしい記事でした。

5名の先生の記事を読み、私自身も研究に対する姿勢、磨くと良いスキル、研究とプライベートの葛藤など非常に共感するものが多かったです。
私自身も研究に対しての姿勢なんかはかなり考えてきていましたが、別の視点の向き合い方やデータへのこだわりなどを知ることができ、学びも多かったです。

これから研究室に配属されるけど、研究とどのように向き合ったらいいのかわからなくて不安と感じている人はもちろん、すでに研究に取り組んでいる人も研究に対する姿勢を再確認するためにもおすすめしたい記事でした。

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まとめ

以上、「実験医学 2022年3月号」を読んだ感想のアウトプットでした。

2022年3月号の実験医学では、

  • RNAワクチンの歴史と基礎から創薬応用についての特集
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンイノベーションが手がける日本でのライフサイエンスイノベーション
  • ラボ新入生へ贈る若手PIからのエール

が個人的にとても印象に残る記事でした。

「わからないことを調べることは大事」と言われるなか、毎日忙しく、自分の分野の勉強だけでも追いついていない状況では、そう簡単に取り組むことができないのは仕方ないことだと思います。
そんな中、このような雑誌がわからないことを学ぶきっかけとしてとても良い存在だなと感じる3月号でした。

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