大学でも研究室でも、社会に出てからもおそらく「わかりやすいプレゼンは大事」と言うことをよく耳にすると思います。
しかし、わかりやすいプレゼンとは一体なんでしょうか?
- 高校生でも理解できるように説明すること。
- 初心者でも理解できるような優しい内容。
など、様々な指標があるかと思います。
私の過去記事では伝える能力についてアウトプットを行いましたが、本記事ではさらに掘り下げて行きます。
これまでの経験を通して、
わかりやすいの指標 = インパクトがあるかどうか
と捉えると指標化しやすいのではないかと考えています。
インパクトがある説明をする方法として、私が普段考えていることが「ものさし」を提示することです。
ものさしが重要だと考える理由は下記の3つです。
- 背景が伝わる
- 新規性・世の中に与える影響の大きさがわかる
- プレゼン内容の目的が明確になる
インパクトのあるプレゼンとはなにか?
「わかりやすい」ということにこだわって考えると、「わかってない人に対してもわかるように」ということで、「わからない所はどこか?」を探すのが王道的な考え方でしょう。
しかし、「わからない所」は人によって違うので、どこまでわかっていない人をターゲットにするのかは難しいです。
なので「わかりやすい」を「インパクトを与える」に考え方を変えるのが有効です。
「インパクトを与える」ために必要な考え方として、
- 最先端であること
- 新規性があること
- 世の中に与える影響が大きいこと
ということが考えられます。
「わかりやすい」よりも具体的に各要素を考えることが楽になりますね。
そしてこの要素を相手に理解してもらうために必要な道具が「ものさし」になります。
インパクトを示す「ものさし」
ものさしの役割としては「測る」ですね。
もし「ものさし」がないと、目的のものの大きさがどれくらいなのかということは曖昧になります。
例えば、同じ長さのものでもある人にとっては「短く」ある人にとっては「長い」と感じます。これを他人に伝えようとした時に、「短い」「長い」だけでは伝えることは非常に困難です。ところが、ものさしで◯cmというように示すことができれば、そのサイズを個人の感じ方ではなく、同じ尺度で考えることができます。
このようにものさしを用いることによって、ものの大きさを共有することができます。
上記のように「ものさし」を用いることによって、自分のプレゼンするものがどれぐらいのインパクトを持っているかということを具体的に示すことができます。
例えば、研究においての「ものさし」では、
- その研究はいつから始まって、今はどこまで出来ているのか
- 今どのようなことが課題で、その分野ではどのようなことに着目しているのか
- その研究分野の最終的な目的はどこか?
ということになります。
これらを提示した上で、自分の研究はどこに位置しているか?を示せば、自分の研究はどれぐらいのインパクトがあるのかを客観的に伝えることが出来ます。
もし上記の「ものさし」を提示せずに、研究を説明しても、「最先端」、「新規性」、「世の中に与える影響」は相手には伝わりません。受け手側は自分の知っている知識のみでその研究の価値について判断をするしかありませんね。
ものさしで伝える3つのポイント
ものさしを使って伝えることができるポイントは以下の3つだと考えます。
- 背景が伝わる
- 新規性・世の中に与える影響の大きさがわかる
- プレゼン内容の目的が明確になる
背景が伝わる
自分の提示する内容がどれぐらい新しいかということを示すためには、上記でも述べたようにその分野がいつから始まり、現在の最先端がどこかということ重要ですね。
つまり、ものさしというのは「背景」にあたります。
その分野の背景を理解している人はプレゼン内容がどの位置にあるかがすぐにわかります。しかし、背景を理解していない人は何がすごいか全くわかりません。
意外と背景をしっかり理解している人は思っているほど多くはいません。
例えば、同じ化学の分野でも有機と無機では全然違うため、どれだけ著名な研究者であったとしても、相手の分野のバックグラウンドを把握してすごさを理解できる人が少ないのが現実です。
ものさしという「背景」をしっかりと相手に伝えることによって、相手にその内容を理解してもらった上で良いのか悪いのかなどを評価してもらうことが出来ます。
新規性・世の中に与える影響の大きさがわかる
新規性
ここで言う新規性とは「ものさし」の中でまだ明確になっていない部分はどこか?という考え方がよいと感じます。
どういうことかというと、背景というものさしは全ての目盛りが表示されている訳ではありません。
最先端よりも先のところはもちろんですが、その手前でもまだ解き明かされていなかったり、わからない部分もあります。
新規性と聞くと最先端よりも先の部分に注目しがちですが、それより前のわからない部分も非常に重要で価値があります。
ただし、そのようなものを中途半端な説明にすると、なぜ今更そのようなことを?と受け取られることが多いですね。
なので、ものさしを用いて、その部分がしっかりと「未知であること」を見せる必要があります。
ものさしで明確にさえすれば、新規性が明確になり、説得力も向上しますね。
世の中に与える影響の大きさ
この部分も新規性にあわせて大切な部分ですね。
このプレゼンで示すものがどれぐらい影響を与えるのかということを予想で良いから示すことよって説得力が大きく変わります。
これを示すためにもものさしは大切で、既存のものが世の中に与えている影響、この先発展していくものが世の中に与えるであろう影響をものさしで示すことで、自分が示したいことがどの部分にどれぐらい影響を与えるかを明確に出来ます。
イメージとしては検量線に近いでしょうか。
検量線はAとBの間であればXの影響がYであると求めることが出来ます。今回の場合は、具体的なデータではなく、あくまでも与える影響の予想ということなので、ABで作られる直線に沿って、Cという取り組みはこれぐらいの影響が予想される。そして本研究ではこれぐらいの影響と予想できることを示すことが大切です。
実際にどうかを確かめるためにそれを行う訳なので。
プレゼン内容の目的が明確になる
上記までで、ものさしを提示することで、「背景」「新規性・影響」を明確にすることが出来ました。
ここまで明確にできれば、プレゼンで最も重要な「目的」がはっきりしてきます。
「背景」「新規性・影響」というのはものさしで目盛りがわかっている部分を相手に見せるということになります。そして「目的」の提示とは、ものさしの目盛りがわかっていない部分について、目盛りを書き込む必要があるから書き込みますよ、ということになります。
もし、「そこに書き込む必要がない」と思われたら、その「目的」はよくなかったということになりますし、「確かにそこには書き込む必要がある」と判断されれば、良い目的になります。
そして、目盛りの書き込み方が妥当かどうかという議論がプレゼンの内容になる訳です。
このようにものさしとして捉えることによって、プレゼン内容の立ち位置や大きさ(価値)というものを他人と共有することで、インパクトが与えられるかどうか(わかりやすいかどうか)が決まるのではないかと考えています。
まとめ
以上が「わかりやすくインパクトのあるプレゼンをする3つのコツ【ものさしを提示する】」でした。
「わかりやすい」について直接考えるよりも、ものさしを用いてインパクトを与えられるかどうかという少し遠回りした考え方をした方が、良いのではないかということです。
インパクトを与えるために「ものさし」を使う重要性は下記の3つの理由です。
- 背景が伝わる
- 新規性・世の中に与える影響の大きさがわかる
- プレゼン内容の目的が明確になる
結局のところ、背景をいかに相手に伝えるかが本質だと考えています。
背景の伝え方次第で同じ内容でも、すごくもしょぼくもなります。
同じ発表内容でも参加する学会によって評価が変わってくるのもそういうことですね。
評価する側が背景をどれぐらい理解しているかによって変わるということです。
つまり、自分がプレゼンする背景を相手に理解させることができるかどうかで自分のプレゼンの価値が決まると言っても過言ではないと考えます。
そしてその背景という要素を整理していくと、「ものさし」と捉えることで考えやすくなるというアウトプットでした。
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