学会発表や卒業発表などで、伝えたい事がなかなか伝わらない事を経験した事がある人は多いかと思います。
私も何度も経験していますが、的確に伝えたい事を伝えるのは苦手な人は本当に難しいですよね。
そこで、相手に伝えるために大切なことを、私のこれまでの研究生活で学んだ事をもとにしてアウトプットしていきます。
ポイントは下記の3つ!
- 短く
- 簡単に
- わかった気にさせる!
です!
相手に伝える大切さ
そもそも、なぜ相手に伝えなければいけないのでしょうか?
それは自分がなしたい事をする為に必要だからです。
私自身博士号を取得するのに審査で苦労をしました。
博士号を欲しいのは他の誰でもない私です。審査員に博士論文を伝えて理解してもらい、認めてもらわなければいけません。
伝えることができなければ、私は博士号取得というなしたい事を成せないわけですね。
ちなみに、私が博士号取得で苦労した事は下の3つです。
- 審査員は私の研究に興味がない。
- 審査員は分野が違うから難しい話は理解できない。
- 審査員は忙しくて親身に構ってる時間はない
そして、審査員から求められたことは共通して下の3つでした。
- 短時間で説明してほしい
- 何が新しいことなのかを高校生でもわかるぐらい簡単に説明してほしい
- 興味を持たせてくれたら質問するよ
上記のことについては、博士号の審査だけでなく、ほぼ全ての発表で通じるものかもしれません。
学会賞の発表とか、就活での研究説明とか、さらには企画説明とか。
学会賞なんかも、評価するのは分野が違う先生です。
信じられないかもしれませんが、基本的に他人の研究を理解して評価できる先生はごくわずかです。
まぁ、研究のすごさなんてこれまでのその分野の歴史を知らないと判断でいないので、分野が違う人には判断できるわけがありません。それでも、審査をしなければいけません。
ということは、わからない・理解できない人をいかにわかった気にさせるかが勝負ということです。
相手をわかった気にさせる方法
- 言い換えを身につける
- 相手のレベルに合わせる
- 強調する
- 自分が言いたいことではなく、相手が聞きたいことを言う
言い換えを身に付ける
同じ意味でも、言葉が違うだけで理解できる人は多いです。
あとは、説明をしてから単語一言で置き換えるという手法も有効そうです。
例えば、
A:スフェロイドというばらばらになった細胞をおにぎりのように固めて球状にしたものを〜
B:バラバラになった細胞をおにぎりのように固めて球状にしたものを”スフェロイド”と言います。これを〜
ほぼ同じ文ですが、私は後者の方がわかりやすいように感じます。
相手のレベルに合わせる
分野が違う人は初心者も同然です。自分が初心者だった時のことを思い出してみましょう。
教授が言ってることとかちんぷんかんぷんではなかったでしょうか?
知識なんかは専門性がつく前の高校生ぐらいを想定して話を組むと良いと思います。
実際に、審査員の先生にも高校生ぐらいにわかるように説明して欲しいと言われたので、妥当なところではないでしょうか。
強調する
強弱や緩急は相手に印象づけるのに非常に有効なテクニックだそうです。
大事なところほど強くゆっくり言うことで、相手は「ここおが大事なのか!」と理解したつもりになるそうです。
印象づいて記憶に定着したかどうかが理解したと感じる条件の一つなんでしょうかね?
確かに、話がうまいと感じる人は強調の仕方がとても上手だと思います。理解できなくても、強調された部分は覚えていますし。
自分が言いたいことではなく、相手の聞きたいところを言う
研究なんかでは、先生なんかはこの研究の何がすごいのか教えて欲しいと言う人が多いと思います。
(もちろん、研究についての実験手法や解析手法などについて詳しく聞きたい人もいます。そこらへんは聞かれ方から読み取る必要がありますね。)
何度も書いていますが、「この研究すごい!」と理解できる人は少ないです。なので、理論的に矛盾なく、自分が達成できたこと、これは誰もなし得なかったことと伝えることができれば良いです。
相手が理解してくれないというスタンスは生き残れない
よく、あの人は話を理解できないということを言っている人がいますが、だいたいこう言うのはお互い様ですね。
自分 → 理解してくれない相手が悪い
相手 → 理解できるように話してくれない人が悪い
というような関係が成り立っています。どちらかが譲り合わないといけません。
まぁ、だいたいの場合は、自分が伝えたい立場だと、自分の方が下だから譲るという精神で良いのではないでしょうか。
相手からしたら、理解できないことを話している人は無視するか取り合わないという選択肢が取れます。最悪、「何が言いたいのこの人は?変な人なのかな?」と思われてしまいます。
そして、何で理解してくれないの?理解してくれない相手が悪いと言うのはただの責任転嫁です。
稀に奇跡的に根気よく理解してくれようとする人がいますが、相当いい人だと思います。身の回りにそのような人がいたら希少種なので本当に大事にしましょう。
例)
発表で賞を受賞したい時はどちらが上かしたか?
発表者 → 何としても賞が欲しい!
審査員 → 賞が欲しいなら私を納得させてみなさい。納得させられないなら賞はいらないと言うことだね?
ということらしいです。確かに私が審査員の立場になってもそう思います。(同時に、理解できない自分の未熟さも恥ずかしいと思いますが。)
講演会での体験談
先日とある講演会に出席してきました。5名程度の先生が演者として発表をされていました。
全員業績や地位としては同等の人たちですが、1人だけずば抜けて伝える能力(話し方、資料)が高い人がいました。研究の内容のレベルとしては他の人と変わりませんが、伝える能力が抜き出ているだけで、他の人よりもすごい人と錯覚してしまう現象に陥りました。
このように実力があっても伝える能力が低いと損することの方が多いです。
逆に、実力がなくても伝える能力が高いと勝ててしまう世界でもあります。
何度も何度も書くように、実際に研究の分野でも、研究の本質を理解できる人なんてそうそういないので、伝える能力が高い人ほどできる人と評価されて生き残る仕組みができています。
少ない経験の中でも、それで生き残れなかった人も、生き残った人もみてきました。研究者として死活問題になるぐらい大事な能力ということです。
まとめ
まとめとしましては、生き残るために伝える力は必要不可欠ということです。
伝える力を身に付けるためには
- 言い換えを身につける
- 相手のレベルに合わせる
- 自分が言いたいことではなく、相手が聞きたいことを言う
の4つのポイントを意識することが重要そうです。
この記事を読んでわかる通り、私はまだまだ伝える力が十分でないので、読んでいただいた方の今抱いている感想が審査員の気持ちという解釈で良いのではないでしょうか。
これからもインプットアウトプットを繰り返して「伝える力」を身につけていきます。
何事もトライ&エラーが成長に繋がります。
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