本記事では「イェール大学集中講義 思考の穴」を読んで学び、考え、実践したいことをアウトプットします。
どんなに頭の良い人であっても、誰もが必ずバイアスにとらわれる。
そんな厄介な人間の思考の穴に、どうやって立ち向かうのかを解説した良本でした。
自分の行動を少し変えることで、思考のバイアスを軽減できると感じることが多く書かれており、読んだらいざ実践してみようと思わせてくれる本です。
自分が特に有効で試してみたいと思った対策は下記の3つです。
- 自分でやってみる・行動してみることが最高の対策
- 自分勝手に解釈するバイアスは止められないことを認める
- 完璧主義で苦しい人は過程を楽しむべし
アウトプットの内容は下記の通り。
- 「イェール大学集中講義 思考の穴」を選んだ理由
- 学びになったポイント3つ
- 読んだあと実践すること
「イェール大学集中講義 思考の穴」を選んだ理由
研究に携わっている者として、論理的に物事を考え判断することは仕事に大きく影響する能力です。
厄介なことに人間にはバイアスという思考の不具合のようなものがあり、自分は大丈夫と思っていても知らず知らずバイアスにとらわれています。
バイアスに陥ってしまってよくわからないことを言う人と接するストレスもものすごいですし、自分もこの思考の不具合に陥ってしまっているのは耐え難いところです。
なんとか抗う方法はないものかと悩んでいた所、この本が役に立ちそうと思い読んでみました。
学びになったポイント3つ
自分でやってみる・行動してみることが最高の対策
バイアスのひとつとして、「流暢性効果」というものがあります。
これは頭の中で簡単に処理できることは、やったことがなくても自分も簡単にできるという過信をもたらすものです。
例えば、TEDトークという18分ほどのスライド6〜8ページほどの有名なプレゼンがあります。
専門家の人が軽快に面白い話をしているのを見ていると、ある程度の知識があることに対しては自分もできそうな気になりますね。
TEDを見て自分もできると思いこんで学会発表に挑んだ結果、思うようにいかなくて悲しかった記憶が蘇ります。
実はこのTEDトーク、1分辺りに1時間もの練習をしているとのことで、あの軽快かつ面白い話をするために20時間程度の準備をしているそうです。
また、ネット検索で知識を得ると調べていないことも知っているという錯覚に陥るようで、これも厄介ですね。
SNSなんかでも専門家に対して素人が物申している様子が多々ありますが、こういったバイアスによる過信が原因のひとつであるような気がします。
このようなバイアスの対策は「実際にやってみること」が有効だそうです。
- 自分で実際にやってみて、できないことを自身にフィードバックすること。
- 自分の知識を書き出してみて、思ったより理解できていないことを認識すること。
これらを行うことで、流暢性効果による過信を軽減することができるとのことです。
自分勝手に解釈するバイアスは止められないことを認める
もう一つのバイアスは「最初に思い込んだこと」を信じ続けようとする、確証バイアスと呼ばれるものの一種です。
人には自分が信じるものを信じ続けようとする傾向があるようです。
この原因は自分が真実だと思っていることに沿うように新たな情報を解釈して生じるとのこと。
身近な例だと、自分の問題を周りのせいにする人(他責思考)、何でも自分のせいにする人(自責思考)もこの歪んだ解釈によるもので、事実を捻じ曲げて、周りが悪い、自分が悪いと極端に解釈することで起きるとのこと。
他責思考は自分の成長に繋がらず良い印象はありませんが、何でも自分のせいにしてしまうのは事実を正しく捉えられていないことですし、自分を傷つけることにもなるので注意ですね。
また、この確証バイアスはかなり厄介で、頭の良い人もバイアスの影響を受けるそうです。
その理由が面白く、「頭が良いが故に自分が信じる意見に矛盾する事実をごまかす方法をたくさん心得ているから」というもの。
頭が良い人だからこそ引っかかるのいうことでたちが悪いです。
このバイアスの対策は「この解釈にバイアスがかかることは絶対に止められない」という認識を持つことが、はじめの一歩とのこと。
自分も他人もバイアスにかかることは仕方がないと認め、受け入れることで、初めて認識の歪みに立ち向かうことができるそうです。
また、バイアスに陥った人は特にSNSなどで暴走していて厄介極まりないですが、こういった他人を変えることができるのかについては、考えを変えることはできないようです。
なんとかできるラインは、制度のようなシステムレベルで行動を変えることができる程度とのこと。
そのシステムですら全体に影響することなので簡単に変えることはできないので、個人単位でどうにかするのは諦めたほうが良いレベルかもしれません。
完璧主義で苦しい人は過程を楽しむべし
自分を律して成果を出している人の武勇伝は刺激があるものでSNSやビジネス書でも人気があり、高く評価されています。
ここにもバイアスの影響があるようです。
成功に向かって自己管理力を高めることは確かに良さそうに思いますが、自己管理力を強く求めるほど、そうでない人よりも難易度が高い作業ができなくなるという研究結果があります。
これは、「自分の理想」と「実際の能力」の差を認識して、目指す姿になれないと思ったときに生じる現象とのことで、その差を認識した人の多くは作業をあきらめ、力を発揮できなくなってしまう傾向にあるとのこと。
SNSによって、成功者の偉業や優秀な人の業績がより身近になりました。
このような刺激は自分の理想をどんどん高める原因になるようで、その都度更新される自分の理想と現状のギャップに苦しむことになります。
この自己管理に関するバイアスで更に悲劇的だと感じたのが、SNSやビジネス書で流行っている成功譚です。
確かに「自分がこのような行動をしたから、この結果がある」というのはそれっぽいですが、残念ながらそこに再現性はありません。
あくまでもその人の一例であり、因果関係がなくても自分の行動が結果に結びついたと思い込んでしまうという確証バイアスの一つとのことです。
これと組み合わさって厄介なのが、前項で取り上げた自責思考に関するバイアスで、「◯◯さんはこの方法で成功している。自分が成功できないのは自分の努力不足だ」という思考に陥ること。
さらに厄介なのが、成功譚を発信する側が、自分の行動が正しいものと信じて上手くいかない人を「あなたの努力が足りない」と煽ること。
再現性がない思い込みを中心に負の連鎖が起きていますね。
SNSでよく見る光景です。
こういった自己管理に関するバイアスが引き起こす弊害への対策は、「結果に飛びつかず、過程を楽しめ」とのこと。
行き過ぎた自己管理は精神衛生や幸福、肉体的にも悪影響を及ぼします。
結果よりも過程に意識を向けることで追求しすぎを防ぐのが、有効とのこと。
読んだあと実践すること
「イェール大学集中講義 思考の穴」を読んで実践することは次の2点です。
- とにかく自分でやってみる、行動する
- 過程を楽しむ
とにかく自分でやってみる、行動することで、自分ができないこと、知らないことを正確に認識し、自分の過信を取り除くことが物事を正確に認識する第一歩だと感じました。
また、恥ずかしながらSNSに影響されすぎて、周りの優秀な人達と比べてしまい、理想が高まりすぎていました。
「できないことは伸び代」と思い、常にチャレンジ精神で取り組むようになって、気持ちがとても楽になってきて、まさにこの本で解説されていたことだったと思います。
一度しかない人生、できなかった結果に悲観するのではなく、過程を楽しんでできるようになったことに対する喜びを増やすのが良さそうです。
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