学術振興会特別研究員、DC1、DC2。
といえば、研究者を目指す修士課程、博士課程の人達にとって、非常に大きな存在だと思います。
学振特別研究員になるためには申請書類を書いて、書類審査に通り、面接を受けてようやく採択になります。
そして、書類審査でうまくいけば、面接をパスして採択されることも可能です。
学術振興会特別研究員については過去記事で書いているので、よくわからないという人はぜひ読んでみてください。
また、前回の記事では「申請書を通す文章を書くコツとお金獲得への応用」についてアウトプットしました。これは学振をはじめ、お金をもらうための申請書を書くためのポイントについて私が経験したこと、本を読んで学んだことについてのアウトプットになっています。
本記事では、そんな学術振興会特別研究員に採択されるために、申請書類で私が最後まで徹底してこだわっていた3つのことについてアウトプットします。
その3つとは下記の3つです。
- 誰が読んでも理解できる内容
- イラストを見ただけで内容がわかる
- 誤字脱字しない
2度目の挑戦で採択されたDC2(書類選考のみで採択)は、このおかげだったのではないかと考えていますので、少しでも参考になると幸いです。
はじめに押さえておくポイント
本記事では学振に採択されるためのコツという大層なことは紹介できないので(先人達の情報のクオリティが高すぎて私がそれを超えられないため)、まずは本記事を読む前に、必ず参考にするべきページを紹介させていただきます。
この大上様のスライドはおそらく一度は学振に挑戦しようとした、挑戦した方々は必ず読まれたのではないかというぐらい素晴らしい解説をされています。
読まれたことがない方は是非この機会に読まれてみてはいかがでしょうか。
こちらの記事では、学振に挑むに当たって網羅的な情報を紹介してくださっていて、書き方や周辺情報を知るために非常に役にたつ記事だと感じます。
以上の記事を参考にしていただけると、学振の書類を書くためのコツというものを網羅的に具体的に把握できるのではないでしょうか。
もちろん私も、それらの情報を参考にして申請書を書きました。
本記事では、その中で私が特に意識したことをアウトプットしていきます。
学振申請書類で私が最後まで徹底した3つのこと
私が、学振申請書を書く上で最後まで徹底したことは下記の3つです。
- 誰が読んでも理解できる内容
- イラストを見ただけで内容がわかる
- 誤字脱字しない
順番にみていきましょう。
誰が読んでも理解できる内容
当たり前だと感じる方も多いと思いますが、本当に基本的であるが故に難しいところだと思います。
上記で紹介した大上様のスライドでもあるように、審査員は業務の片手間に書類審査を行うことになるため、一人当たりに費やせる時間は本当に少ないです。
なので、パッとみて理解できるかどうかということは申請書では本当に重要なことだと思います。
それでは、何を基準にパッとみて理解できるかどうかということを判断したら良いでしょうか?
それが「誰が読んでも理解できる内容」だと考えます。
過去記事で伝える能力について書きました。この中でも書いていますが、どんなに著名であったり、優秀な研究者であっても分野が違えば本当に初心者レベルの理解力しかない人が多いです。ひどい時は、同じ分野でもターゲットが違うだけで話が通じないこともしばしばです。
つまり、専門用語がてんこ盛りな文章を書いても、全く理解してもらえません。おそらく難しすぎて途中で読むことをやめられてしまう可能性もあります。
このような理由から、最後まで読んで評価してもらうために
- 簡単な言葉を使う
- 複雑なことは書かないとにかくシンプルに
ということを意識する必要があると思います。
しかし、自分の力だけではなかなかそのような文章に仕上げることが困難です。
なので、人を頼りましょう!
書いた申請書をとにかくたくさんの人にみてもらいます。
ベテランの人も、年が近い人も、後輩達、技術補佐員、兄弟などなど本当にたくさんの人に読んでもらい、フィードバックをもらいましょう。
この時に、なるべく熟読してもらわないように読んでもらえるとなお良いと思います。
なぜなら、申請書はおそらく熟読されないため。
なので、熟読せずに審査員でない人にも理解できるかどうかと言うことを確かめてもらいましょう。
特に大事にするべき意見は、研究室配属されて間もない後輩や、分野の違う人たち、研究にまだ本格的に携わっていない人たちの意見です。
その人たちに読んでもらう際に、わからない言葉に印をつけてもらいましょう。その部分を簡単な言葉に置き換えたり、補足説明したりすることによって、格段にわかりやすい文章になります。
イラストを見ただけで内容がわかる
申請書のイラストも欠かせない重要なポイントです。
視覚的にわかりやすく見せるための大切な表現方法です。
イラストの表記方法としては、重要な部分のみを見せる挿絵的な感じと、申請書の内容を要約した絵の2通りの書き方があると思います。私は後者の「要約型」が良いのではないかと考えています。
理由として、評価者は時間がないのでおそらく申請書を熟読はしてくれません。たまたま、重要部分のみを理解できる人がみてくれたら良いかもしれませんが、そうでない場合、本文を読んだ上でイラストを理解するしかありません。
一方、要約型だとイラストをみて話の流れが把握でき、あとは重要なポイントを読めば良いだけなので、読みやすい(見やすい?)ですね。
ブログでもそうですがあまりにも文章量が多いと読むのが疲れてしまいます。なので、隙間を作ったり、挿絵を入れたりして、文章の塊を小さくすることが良いと言われているそうですね。(私は妥協していますが…)
なのでイラストは余白が許す限り使用して、要約型で載せた方がよいのではないかと考えています。
そしてこれも、たくさんの人に読んでもらって、わかりやすく見やすいイラストを作成することが大切です。
イラストを描く上での注意点として、最終版はモノクロになります。なので、イラストでの色使い、特に濃淡についての意識がとても重要です。
下に試しに作ったイラストを載せます。
仮に「カラフルなぶどう」を作る研究として、カラフルなぶどうのイラストを作成したとします。
まごうことなきカラフルなぶどうですね…
しかし、これをモノクロにすると、なんとほぼ同じ色になってしまいます!
なので、モノクロでもわかるように明るさなどを意識することが必要ですね。
線の有無を工夫してみても見やすくなったりします。
初めからモノクロで作ってしまうのも手でしょう。
カラーで作って置きたい人はモノクロに変換して、見やすいかどうかのチェックは本当に重要な作業になってきます。
誤字脱字しない
これも当たり前なような気はしますが、大切です。
よく日本人は減点方式と言われますが、研究の世界、特に科学雑誌でもよく聞く話です。
と言うのは、多くの申請者から限られた人数を選ばなければならない、そして同点ぐらいで並んだ人のどちらかを落とさなければならないという状況がでてきます。
その時に判断材料とされるのはなんでしょうか?
それが誤字脱字であったり表記ミスです。
論文投稿なんかでも、引用文献の表記ミスなどがあっただけでも、そこまで気を使えない人という評価になり、リジェクトされてしまうことがあったりします。
申請書でも当然ですが、誤字脱字、表記ミスは減点としてはこの上なく減点しやすいポイントになります。
「大切な申請書なのに誤字脱字のチェックもしてないのは、そこまで真剣ではないということで良いですね?」と言われたらぐうの音もでないですね。
このような理由で、あるよりは絶対ない方がいいので、誤字脱字のチェックは本当に最後まで徹底して行いましょう。
正直、申請書を出すまでは本当にプレッシャーがすごくて胃が辛いです。ストレスで吐くぐらいしんどかったです。完成して早く提出して忘れたいと思っても、締め切りギリギリまで向き合ってチェックはした方が良いでしょう。せっかく採択ラインに乗っていてもそんなことで落とされたら悲しいどころではないですからね。
自分で書いた文章はミスを見つけるのが非常に難しいので、私は1日や2日開けてチェックをすることを行なっていました。
人間は日々成長するので昨日の自分は別人ということでしょうかね。間隔を開けると自分の文章でもかなり俯瞰して見ることができますので、早めに申請書を仕上げてひたすらチェックに費やす時間の使い方が理想的かもしれません。
まとめ
以上、私が「学振書類で最後に徹底した3つのこと」でした。
- 誰が読んでも理解できる内容
- イラストを見ただけで内容がわかる
- 誤字脱字しない
すでにある学振の書き方のコツの中で、私が特に意識した部分になります。
これだけが重要ではないですし、人によって重要なポイントも変わると思います。
ただ、自分で重要だと思う芯があることが大切だと考えますので、これから学振に挑む人も、学振の挫折を経験した人も、何を特に重要とするかを意識して申請書を書くとよいと考えています。
それの積み上げが自分の中でのノウハウとして溜まっていくのかなと感じる今日この頃です。
本記事を読んでいただいた方に少しでも参考になると幸いです。
以上「学振書類で最後に徹底した3つのこと」についてのアウトプットでした。
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