自分の日々の思考を書きなぐっていく「メモ帳の切れ端」です。
本記事では「大学の研究者のポストは任期制が良いか否か」について語っていきます。
研究において、
・成果が出るためには時間がかかる
・任期があると難しい課題に取り組みづらい
という理由から、大学の研究者のポストは任期なしにすべきという意見をよく耳にします。
一方で、任期なしのポストを与えられ、身の安全を確保した事で、研究の手を抜く教員もいるそうです。
この事から、研究を活性化するためには任期制にすべきという意見も耳にします。
どちらも事実で、一長一短ある中でどう選択するのが良いのか考えたことを書き殴っていきます。
研究者のポストは任期なしにすべき意見
任期なしにすべきという意見については
- 成果が出るためには時間がかかる
- 任期があると難しい課題に取り組みづらい
という理由が多いでしょうか。
成果が出るには時間がかかるについては、確かに一年間で何報もの論文を出しているラボもありますが、そういうところはお金も運営基盤もしっかりしているからという面が大きいと思います。
異動に伴う準備・片付け・公募なんて事をしていると、実際に提示される年数を満足に研究活動に充てることは難しいですね。
そのような環境で研究成果を出すのは中々困難だと思います。(もちろん研究テーマによりますが)
もう一つの難しい課題に取り組みづらいについてです。
当然ですが、限られた数年間しか出来ないとなると確実にできる研究テーマしか行うことできません。
成果を出さないと次の公募に通る事ができませんからね。
研究を活性化するための任期制なのに、チャレンジングな研究に取り組みづらく、逆に安牌な研究の方に向いてしまう、萎縮するような傾向になっているようです。
この矛盾は、任期制の大きな欠点だと個人的に思う部分です。
本当に最悪なパターンだと、捏造などでの研究不正に発展しますし…
任期制は現状だと上記のようなデメリットを持っていて、とにかくこれからの研究界を担う若手にとってかなり不利なシステムであるため、任期なしにした方が良いのではないかとのこと。
研究者のポストを任期制にすべき意見
任期制についてはデメリットが大きいような気がしますが、任期制にすると良いことは何でしょうか?
まず、任期なしのデメリットとして、私の周りでよく聞くのが、身の安全が保証されたこと(研究成果が出なくてもクビにならない)で、研究や学生の指導を明らかに手抜きする研究者がいるというもの。
- 研究成果を出さない
- 教育をしない
- 研究費を獲得してこない
など、大学にとってこの上ない不良債権ですね。
確かにこういう人がいると、任期なしによって他の人もこのような状態になる可能性を考えてしまいます。
研究者になるような人は、研究する事が生きがいの人が多いと思うので、そうなってしまう人はごく少数だと思いますが、そうなる人がいるのも事実は事実です。
そういう意味で、任期制にすることのメリットは
- 気を引き締めて研究に取り組む
- やる気のある人だけ研究の世界に残す
という面で、確かに任期制は効果がありそうです。
淘汰のシステムは生存に重要ですからね。
(本当に真っ当な淘汰システムならば…)
実際に行われている任期制についての対応
とある大学の例
上記のように任期あり・なしにはそれぞれ一長一短ありますが、実際にどのような形で対応策が導入されているのか、私の周りの一例を紹介します。
とある大学の学部は、助教授までは任期があり、准教授以上になると任期なしになる、よくある制度でした。
ところが、やはりいざ任期なしになると研究の手を抜いて不良債権として居座る人達が出てきたそうです。
これに対して大学側は対応せざるをえません。
ではどうしたか?
不良債権になった人達は、はじめの契約上もうどうする事もできないので、その人達は定年まで雇い、一方で次の採用からは准教授も任期制にするという対応をとったそうです。
ツッコミどころ
上記のような一例に対してまず思ったことは、処する所が違うんじゃないか?です。
何故問題になっている当の本人たちには何もせず、その次の世代に対して対応していくのか不思議でなりません。
もちろん日本の制度だと、初めに決めた事を取り消して変えると言うのはとても難しいと聞きます。
実際にやってもかなり批判が出ると思うし、揉めるし、下の人も自分がそうやってクビになったらどうしようと萎縮する可能性もあります。
だからといって、下にその対応を向けるのも違うのではないかと思います。
実際に問題になっている不良債権をどうにかしない限り、問題は解決できません。
問題を解決するための対策でさらに別の問題を生み出すのもスマートではないです。
そして准教授以下を任期制にしても、教授になり任期なしになった途端手を抜く人の対応もできないので、大して意味があるのかもわかりません。
かと言って、実際に制度を決める側の教授達は自分達が不利になる制度は作りたくないから、全員まとめて任期制にするなんて思い切った対応をする事はなさそうです。
ではどうしたらいいのか
真剣に取り組むなら中途半端な事をすると判断がややこしくなるのでどちらか一方に振り切った方が良いと思います。
上記で淘汰は生存に必要なシステムと述べましたが、これは淘汰すべき対象を淘汰する事で初めて正当に機能するものだと思います。
つまり不良債権をいかに淘汰するかです。
任期制にすれば、そういった不良債権は次の審査に通る可能性は低くなるでしょう。
任期なしにするなら不良債権をいかにして淘汰する仕組みを作るかという事を考えなければいけないでしょう。
ただしこのラインを決めるのは非常に難しいです。
研究は成果が出るために非常に時間がかかるものもあるので、かなり頑張っているのに不良債権認定されてしまう人が出てくる事は容易に想像できます。
これを為すためには、正当に評価できる能力を持った人を育てるしかないのでしょうね。
とても時間がかかりそうで難しい問題ですね。
簡単に解決できる事ではないから、今もずっと問題として根強く残っているのでしょう。
まとめ
ということで、大学の研究者のポストは任期制が良いか否かについての書きなぐりでした。
どちらにしてもメリット・デメリットはあって、完璧な対応策というものは無いと思います。
とは言いつつも、既存の人たちを変えず、これからの人たちの対応を変えるような現在の方針は、現在抱えている問題を何も解決していないでしょう。
そして、そのしわ寄せはこれからを担う若手に来ているので、悪手なのではないかと感じますね。
簡単に解決できる事ではないですが、根本的な所(現在問題を抱えている所)で対策を取らないと、人材難どころの話ではなくなってくるのではないでしょうか。
まぁ私が今考えたところでどうしようもないので、自分がリーダー的な立場になった時にある程度の基準を作れるように考え続けていくのが大事なのかな。
という事で、以上思考の書き殴りでした。
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