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科学に基づいた最も効果的な風邪予防【風邪の科学】

読書メモ
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風邪に打ち勝つために科学が挑んだ結果、効果的な予防法と治療方法が見出されてきたそうです。風邪に挑んだ科学者達の歴史を綴った本「風邪の科学」を読んで学んだ「風邪の予防方法」についてアウトプットします。
私自身、これまで非常に風邪に悩まされてきたので、非常に参考になりました。

書籍の情報
タイトル:風邪の科学 もっとも身近な病の生態
著者:ジェニファー・アッカーマン(鍛原多恵子 訳)
出版社:早川書房

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風邪を予防する最も効果的な方法は何か

まず、結論から言いますと、

科学に基づいた風邪を予防する方法は、手を洗い、顔を触らないこと

になります。

風邪の予防方法が導き出されるまでの経緯

風邪ウイルスは大気感染するの?

まず前提として、風邪ウイルスの入り口は鼻と目であるとされています。
風邪研究の黎明期に、イギリスのサー・クリストファー・アンドリューズという研究者の研究によると、風邪をひいている人と同じ部屋で過ごしても、風邪がうつる割合は平均してたった5分の1だったそうです。

他には、エリオット・C・ディック教授の研究では、健康的な被験者と重い風邪にかかった被験者を半数ずつ部屋に入れ、トランプをさせたり、大声で話させたり、36時間一緒に暮らさせたり、熱烈なキスをかわさせたりしたそうです。
しかし、風邪を引いたのはたったの8−9%だったそうです。一緒に暮らす夫婦でも風邪がうつるのは全体の30-40%とのことです。

ということは大気感染する確率は低そうだと言えます。

どこから風邪ウイルスがうつるのか

ラヴロックという研究者は鼻汁を出す装置を開発しました。この装置は重症な風邪にかかった人と同じように鼻水を出すように作られています。(この実験ではもちろん本物の鼻水ではなく蛍光色素を含む液体を代わりに使用しています。)
実験助手は装置を鼻に装着して、遊んだり食事をしたりして、他の人と時間を過ごし、ハンカチで必要に応じて鼻をふく以外は普通に振る舞うという実験を行なったそうです。
実験後、紫外ランプを照射すると、蛍光色素を含む水はハンカチだけではなく、顔や衣類、食べ物、トランプにまで付着していたそうです。

そして、オーウェン・ヘンドリーの研究では、風邪ウイルスは皮膚の上で2時間も生き、他の人を感染させることができるそうです。
さらに、たった10秒の接触でも、ウイルスは他人に移ることができるそうです。

そして、ウイルスがついた手で鼻や目を触ることで感染するそうです。

とはいえ、それほど顔を手で触れるのかと疑問に思う方もいると思います。

ラヴロックという研究者がロンドン地下鉄でお客さんの観察をしたところ、衛生意識の高い低いに関係なく、人は頻繁に鼻に手を近づけるそうです。

さらに、カリフォルニア大学バークレー校公共健康学部のマーク・ニカス教授の実験で、10人の学生をそれぞれ時間働く様子をビデオで撮影しました。その結果、1時間につき約16回も目や鼻、唇を手で触ったそうです。そして、うち5回は鼻の穴に指を入れていたそうです。

これらの実験から、風邪はウイルスが手についた状態で鼻や手から感染するという結論が得られました。
ちなみに、風邪ウイルスはたった一個でも鼻の粘膜に付着しただけで、風邪を引き起こすそうです。

風邪ウイルスを手につけないための方法

手から鼻を通して、風邪ウイルスが感染すると言うことがわかったところで、どうしたら手にウイルスをつける確率を減らすことができるかみていきましょう。

気をつける場所としては、病院、エレベーター、交通機関、銀行(お金)、職場、保育施設、家、ホテルは特に気をつけた方がいいです。…全てですね!
具体的には、病院のおもちゃ、エレベーターのボタン、電車のつり革、紙幣、照明のスイッチ、ドアノブ、テレビのリモコンなどなど、基本的に不特定多数の人間が触れるところは全て風邪のウイルスが付着していると考えて良いでしょう。

つまり、外出してずっと触っているスマホも凄いことになっているということですね。

ちなみに、家庭のまな板には便座の200倍もの糞便性大腸菌がいるらしいですよ…便座の方が綺麗とのこです。驚愕ですね。

そのほかに有効な方法はどうなのか?

アルコール消毒液を使う

ヴァージニア大学のロナウド・ターナーとそのチームの研究によると、石鹸と水を使って手を洗う場合より、アルコール消毒液を使用した方が風邪ウイルスの除去に有効であることが報告されています。
ただし、手の表面すべてにまんべんなく擦り込んだ場合だそうです。適当につけた場合はそこまで効果がないそうです。使い方が大事ですね。

睡眠をよくとる

睡眠は風邪のかかりやすさに関連があると言われています。

2009年のカーネギーメロン大学のシェルドン・コーエンらの実験によると、睡眠時間が7時間以下の人は8時間以上の人に比べて風邪のをひく確率が3倍以上高いという結果を報告しています。
また、睡眠時間だけでなく、熟睡できない人(全体の睡眠時間の2−8%の時間を中断されてしまった場合)も熟睡できた人に比べて5倍も風邪を引く確率が高くなったということが報告されています。

この理由としては、睡眠不足によって風邪の症状を発生させる炎症誘発性の物質の分泌に拍車がかかると言うことが研究で明らかになっているそうです。
ちなみに、疲労についてはあまり風邪とは関係ないという研究結果が出ているそうです。

ストレスを減らす

ストレスも風邪をひき起こす一つの要因であると言われています。

一言でストレスといっても、ストレスにも種類があって、短期的なストレスと、慢性的なストレスがあります。
この中で風邪のひきやすさに影響を与えるのは慢性的なストレスと言われています。
慢性的なストレスとは、仕事や借金、家庭環境など長期的なプレッシャーがかかっている状態です。

慢性的なストレスがたまると、睡眠時間が減り、運動量が減り、食欲が低下するといった症状が出て、これらの要素が組み合わさることで風邪にかかりやすくなるそうです。

さらに、2008年のコーエンの研究では、自分の社会経済的ステータスをどのように自覚しているかが風邪のかかりやすさに関わっていると報告しています。
自分の地位が低いと思うほど自分にプレッシャーをかけるため、風邪にかかりやすくなるそうです。

風邪の感受性を減らす方法

上記の方法を含め、風邪の感受性を減らす方法を記します。

・十分な睡眠
 睡眠時間が7時間以下の人は3倍、熟睡できない人は5倍も風邪をひきやすくなるそうです。

・禁煙する
 喫煙で気道の細胞が傷つくため、風邪にかかりやすくなり、症状も重くなるそうです。

・運動する
 毎日30−60分の有酸素運動をしているひとは、風邪をひきにくく、引いた場合も症状が出る期間が30%低くなるそうです。

・お酒を一杯飲む、飲酒しない
 CCUで行なわれた研究では、1−2杯の飲酒で、風邪にかかる確率が減少したそうです。

・休暇をとる、取らない
 休暇をとってストレスを発散できる人は休暇を取りましょう。逆に、休暇をとっても仕事が気になる人はそれがストレスになるので休暇を取らない方が良いそうです。

・人間関係を広げる
社会的ネットワークが広い人は、そうでない人に比べて風邪をひ来にくいといわれています。目安として、対人関係が1−3種類の人は、6種類以上の人とよりも、風邪を引く回数が4倍以上との結果が報告されています。

効果のない風邪予防

次に、意外にも効果のないあるいは少ない風邪予防の方法について記します。

殺菌効果のある石鹸

殺菌効果のある石鹸は風邪予防には効果はありません。
なぜなら、風邪はウイルスによって引き起こされるので、いくら殺菌して菌を減らしてもウイルスには関係ありません。

エレイン・ラーソンという研究者の研究結果として、様々な石鹸や洗浄製品が風邪やインフルエンザの予防にどれほど効くか調べた結果、どれも効力は同じだったそうです。

体を冷やさない

ヴァージニア大学のロナルド・ターナーによると、寒さと風邪のかかりやすさには何の関連ないそうです
ではなぜ、風邪が秋、冬に流行るのかというと、寒くて雨の日か多いので、みんな屋内で過ごすためウイルスがうつりやすいためだそうです。
また、風邪のピークが9月と1月なのは、学生が長期休暇を終えて、学校や大学に戻ってくるため、病原体にとって良い環境になるため、といわれています。学生から学生にうつり、家で家族にうつし…という感じですね。

ビタミンなどのサプリメントで免疫力を高める

残念ながら、サプリメントで風邪を予防できるようになるという証拠はほとんどないそうです。

また、風邪の症状の原理は、体内に入ったウイルスに対抗するために免疫が働いて起こる炎症なので、免疫力を高める(免疫細胞を増やすなど)は風邪の症状をより強く出させる行為になるわけですね。免疫力を高めて風邪予防や軽減は科学的には筋が通らないと言われています。

さらに、この炎症の出やすさは遺伝子の影響などで、個人差が非常に大きいらしいです。
風邪ウイルスに感染しても、炎症反応が小さければ、風邪の症状は軽く、炎症反応が大きければ、風邪の症状が重くなるそうです。
風邪をひきにくいほど免疫力が強いというわけではないということですね。
風邪をひきやすい人ひきにくい人は実はこういった部分が違うそうです。

そして、かの有名なビタミンCはこれまでに1万人以上もの被験者による30以上の臨床試験の結果では、毎日ビタミンCを摂取しても風邪の予防には繋がらず、風邪の症状が0.7日減る程度だったそうです。

マスクの着用

マスクはインフルエンザなどについては有効であるとされています。ただし目と鼻を覆って、24時間、3ヶ月間つけっぱなしの場合に限るそうです。
日本ではマスクの着用は結構常識的ですが、本当に有効かどうかについては様々な議論があり、結論として、もっと検証する必要があるとのことです。
まあ、つけてないよりはつけてる方がいいのかもしれませんね。

科学に基づく最も効果的な風邪予防方法は

絶対に風邪にかからない方法は、世間から隔離されて引きこもりになることとされています。
これは無理なので、子供との接触を避けることとされています。
といってもそれも、子供がいる家庭や職場では無理なので、

現実的な、最も効果的な風邪予防の方法は、

手を洗う。顔を触らない

の2つだそうです。

以上が、「風邪の科学」を読んでの学んだ「風邪の予防方法」についてのアウトプットでした。
膨大な研究結果に基づいて、科学的に風邪についての仕組みや予防方法、ひいた時の対処法が書かれているので、興味のある方はぜひ一読されてみてはいかがでしょうか。

書籍の情報
タイトル:風邪の科学 もっとも身近な病の生態
著者:ジェニファー・アッカーマン(鍛原多恵子 訳)
出版社:早川書房

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